2000年の初夏にぶつけて以来、喉に刺さった小骨のようにずっと気になっていたリアサスのアライメントの狂いを直しました。

第1章　事故の経緯
　概要はログの00年7月23日にありますが、バックしていて、左リア部分を電柱にぶつけたというもの。外見(板金と塗装)は直ったものの、アライメントの狂いはそのままとなっていました。トーインがきつくなっただけなので、トーアウトでスピンしやすくなったわけではなく、とりあえず走るのには支障はないし直さずにいました。それに30万円といわれた修理代に躊躇したのも事実です。
　A-classのリアサスは下図の様になっています。頑丈に作られたスイングアーム一本で構成されており、パラレルリンクの様な調整箇所は一切ありません。そのため直すには、部品の交換か、歪みを矯正するかどちらかになります。


第2章　店による違い

　岐阜ヤナセで板金修理に併せて、アライメントを診てもらいました。それが下表右側です。左側は、Eibachのスプリングに交換したときにショップで測ったデータ。見比べてみれば、明らかに左リアのトーが狂っていることが判ります。

　で、そのまま岐阜ヤナセで修理してしまえば良かったのですが、下に示す岐阜ヤナセでのコメントがどうも納得できない、信用できないので修理するまで、こんなに時間がかかってしまいました。持っていった店は岐阜ヤナセの大垣店で、整備工場は岐阜市らしく、直接サービスフロントと話したのではないので、意図するところが伝わらなかったのかもしれませんが。
　「よく判らないから、いろんな所を交換する。修理代は高いです。」というのでは、自分たちの技術の無さを客に押しつけるもの。サスアームの部品代なんて5万円しないだろうし、工賃を含めても10万円行かないはず。田舎の高級車ディーラなので、客層はお金持ばかりだろうし、車両保険にも入っているだろうからこれでいいのでしょう。ただし、自分のセンスとは違います。

　次に、三重ヤナセです。2年目の点検(01年2月)の時、点検をしてもらった整備士に相談しました。このときは、上記岐阜ヤナセでの測定結果も当然見せます。で、そのコメントが下記のとおりです。明らかに、レベルは下ですね。数字の意味を想像できないようでは先が思いやられます。ちなみに、機械構造の有限要素解析をしている職場の先輩に聞いたら、最近の鋳物はものによっては歪む(塑性変形する)そうです。材料に詳しくなくても、経験則でそれ位知っておいて欲しかった。三重ヤナセで車を買った人は、修理は他に持っていった方がいいでしょう。

　それで、実は自分で直そうかと思って、タイヤを外して、サスアームの部品番号を調べたりしました。しかし、ブレーキ周りの配管のケアや、スプリングコンプレッサを始めとする工具の準備、時間などを考えてギブアップしました。何かあったとき、その責任を自ら負うリスクも避けたかったし。

　最後に、大和自動車整備工場(以下、大和自動車)です。ここはバネをEibachにしたときに店にあった専門書でチェックした、サスペンションの権威なので期待しています。コメントは下記のとおりです。このコメントと対応には満足しました。というわけで、大和自動車に入庫です。

　シュテルン横浜東だと、どういう判断をしたんでしょうね。気になるところです。

第3章　修理
　　作業は、1)アライメント測定、2)サブフレームの調整、もしダメなら、3)サスペンションアームの交換、それでもダメなら、4)相談しましょうというシーケンスです。

　1)アライメント測定では、当然のごとく、左リヤのトーインが1°くらいあります。また右フロントがポジティブキャンバーになっていました。ぶつけたことないし、いつこんな風になったんだろう？　で、2)ですが、リアサスのサブフレームの取付け穴は、長穴ではなく、φ30mmくらいのボスがボディから出ていて、それにきっちりはめ込んであり調整不可とのことでした。それで、3)サスペンションアームの交換を行うことになりました。結果、「実用上不具合はない程度」に直すことが出来ました。

　費用は以下のとおりです。これ位の値段だったら、もっと早く修理に出していたのに。岐阜ヤナセはどこをどう修理すれば30万円になるんだろう？

　作業終了後、トルクレンチでの各ホイールの増し締めと、エアのチェック、それからトランクに入っていた私物の確認してくれました。この辺もずいぶんしっかりしてるなぁと、感じました。

第4章　感想
　店によって対応や、技術レベルが明らかに違います。この辺りの情報は与えられるものではないから、自分で探し、判断する努力が必要だと思います。SunbeamでバネをEibachにしたとき、たまたま店に置いてあった専門書を読んだから、大和自動車の存在を知ることが出来ました。普通にカー雑誌を読んでいたら知らなかったかもしれません(今は"Only Mercedes"に広告を出してるそうですが)。
　今回は、サスアームの交換で直ったのだから、岐阜ヤナセでも、クルマは直ったことになります。岐阜ヤナセの「分かんないから、怪しいところは全部換えてしまえ」という考え方は、早いし、儲るし商売としては正しいのかもしれません。ただし、22万円も余分に払うことになるし原因がどこだったのかも分りません。
　大和自動車は大変満足度の高い店でした。情報をとことんディスクローズしてくれる。「どこがどう悪い。だからこうした」ということをきちんと説明してくれます。クルマ好きならこういうところで診てもらった方が絶対幸せです。ここは主人の伊達さんと若い整備士、おばちゃんの３人で家内工業的に経営しています。当然部品代より、工賃の方が高いですが、この店のノウハウがこの値段で手に入るなら、安い物でしょう。三重ヤナセは二度と行くまいと思いましたが、大和自動車は日常の点検だけでも診てもらおうと思いました。